介護保険制度が平成12年に施行してから、今年(平成29年)で約17年となります。
全国各地には、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護療養型医療施設などの介護保険施設と有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅などの施設が多く点在するようになりました。
比較的安価な利用料で入居できる介護保険施設は人気が高く、どの施設でも待機者が何百人もいる現状があります。
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有料老人ホームなどは空き部屋がある可能性が高いですが、月15万円から高いところでは30万円ぐらいかかるところもあります。
このような現状の中で、入居出来た方は本人、家族共に「ラッキー」と言ってもいいと思います。
ただし24時間スタッフの常駐する中で安心した生活が送れると言っても、事故の可能性は避けることができません。
例えば、老人ホームにおける骨折。
2006年と少し古いデータですが、1年間に施設に入所している方の半数が転倒を経験し、そのうち5パーセントが骨折している
という報告もあります。
つまり、100人の入所者が入れば半数の50人が転倒を経験し、そのうち2〜3人が骨折するということになります。
2006年から10年以上経過している現在ではさらに高くなっている可能性もあります。
老人ホームで骨折などのケガをした場合
ここでは、老人ホーム入居中に骨折などのケガをした場合どうなるのかをご紹介したいと思います。
施設に入所する際は、まず本人・家族側と施設の間で、契約書を結びます。
その時に、重要事項説明書での説明も必須となっていますので、読み流してしまうのではなく、しっかりと確認しましょう。
重要事項説明書や契約書の中には、事故や骨折などの怪我が起きた際の対応などについて記載されています。
高齢者は、筋力が低下して行動が緩慢になったり、認知症状にて思わぬ行動をとることがあり、転倒による骨折のリスクも高くなります。
また、介護職員の人材不足もあり、事故が起きる要素が高いことが予想されますので、老人ホームへの入所の際はそういったことを前提にしおく必要があります。
老人ホームでの骨折などのケガは誰の責任か?
では、骨折などのケガをした場合は、施設側には責任はないのでしょうか。
骨折などのケガや事故が起きるのは、利用者の過失と職員の過失に分かれます。
利用者が予想できない行動を行い骨折してしまった場合と、職員が見守りや介助を疎かにしたこと原因で骨折した場合では、責任の所在が変わってくるため、治療費や入院費の支払いも、個人か施設か変わってきます。
これは、難しい問題でもあり、施設側では顧問弁護士を雇っている場合があります。
いずれにしても、骨折などのケガや事故が起きた際は、一刻も早く救急車を手配し、利用者は病院へ搬送され治療を受けることになります。
その後、施設では、事故報告書、検討会議を行い、なぜ事故が起きたのか今後事故が起きないためにはどうするべきかなどを検討します。
入院中は施設に戻ってくることを想定して、部屋を確保してくれますが、長期の入院となる場合は、一旦退所扱いとなる可能性もあります。
双方が事故に対して納得しない場合は、裁判などに発展してしまうケースもあります。
実際の事例などもあります。
▼下記の場合、骨折の過失を施設側に認めたケースです。
事件報告 原因不明の骨折、適切な措置を怠った施設の責任を認める
もし、骨折などのケガをしてしまって、老人ホーム側の対応に納得いかない場合、法律の専門家への相談を検討する必要もあります。
また、web上で相談できるサービスもあるので利用してもいいでしょう。
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